クチコミの広がりを加速するカンバセーショナルマーケティング【AMN 徳力基彦】(2)
- 日本では未だにブログマーケティング自体が発展途上だと思うのですが、日本と海外の違いはありますか。
環境要因の点からすると、日本では企業がそこまでマスマーケティングで困っていないという現状があります。米国ではテレビは多チャンネル放送が主なので、日本のようにCMをたくさん流したからといっても効果があるわけでもなく、「テレビCM崩壊」とよばれるような状況になってきているそうです。その結果、インターネットを使わざるを得ない状況になってきていて、広告予算は自然とネットに流れ、新しいものを試行錯誤しながら挑戦しているのだと思います。

日本ではそれに比べるとテレビCMのようなマスマーケティングも効果がありますから、米国ほどインターネットの重要性が高まっていません。そのため、まだまだ本格的にインターネットを活用しようとしている企業は少ないと思います。
そのため、たとえばインターネットで利用者の声を拾うことができるにもかかわらず、今のクチコミマーケティングはマス的に広めることしか考えていないというようなことにつながります。本来はクチコミマーケティングというのは、利用者の声を聞き、話したくなる要素を盛り込み、初めて広がりを見せるものだと思います。それを考えずにとにかくお金を払うからこれを広めてくれと言っても誰も話を効いてくれないということになりがちです。皆自分の話を聞いてくれる人と話したいので、インターネットを使うときはマスメディアの発想を180度変えないといけません。
- マーケティングが自分たちの商品を広めるためだけのプロモーションになっている点が問題なんですね。
その通りです。日本のマーケティングはプロモーションや営業部分に偏りすぎていると感じています。「マーケティング」という言葉本来の市場を作るという意味合いからすると、製品・企画自体に影響を与えないといけないはずなんです。インターネットの利点である利用者の声を拾えることで、最初の製品作りに失敗したとしても、次の製品作りに役立てることが出来る。このような長期で考える場合にはブログやインターネットは非常に効果を発揮します。
テレビコマーシャルや新聞広告のような今までのチャネルが限られていて、利用者がそこでしか情報を得ざるを得なかった世界であればマスマーケティングは効果的だったとは思いますが、今すぐにある商品を売りたいという場合はインターネットはあまり向いていないと思います。
インターネットはチャネルが無限大にあるテレビのようなもので、どこかで一生懸命流していてもそこに誰かが見に来るとは限りません。この点がテレビコマーシャルとの大きな違いなのではないでしょうか。
海外のマーケッターがよく言うのに、マスメディアの時代はattentionはお金で買えたわけだが、インターネットの時代においてはattentionはお金で買えないという話があります。その代わり、対話を通じてファンを増やしていけば、大規模な展開をする可能性があるのです。中小企業が大企業と戦える素地があるんです。
- 弊社ライブセミナーを週2回ほどやっておりまして、ちょうど今朝attentionはマスメディアしかできないと言う話をしたところなんです。
個人的に思うのは大昔に戻ってきていると思うんです。テレビがあった時代が特殊だったのではないかと思うくらいです。テレビや新聞では、大勢の人のattentionを買えましたが、大昔は買えませんでした。あそこの刀鍛冶はいい仕事をするらしいというクチコミによって、人はサービスやモノを買っていた。そこに戻っているのではないでしょうか。
- マスメディアが効いていた時代はマーケッターたちが手を抜いていた時代だったんですね。
手を抜いていたとは言いませんが、お金がある企業にとって有利な時代だったといえると思います。
- これから一段とユーザーとの会話が重要になってくる中で、企業担当者はブログをやりたいが、なかなか社内的な了解を得られずにできない事があります。このような会社内の阻止しようとしてくる勢力に対して打破できるような何か良い方法はありますか。
一つは自分でやること。会社の看板でできないのだったら、個人の看板でやればいいと思います。私の場合は、アリエルネットワークというソフトウェアの会社でWEB2.0系のツールをレビューするブログを立ち上げました。会社とは全然関係ありませんでしたが、このレビューを読みに来る人たちが、私や会社のことを知っていただく機会になりました。一人で日本全国、さらには世界に対して対話ができてしまうのがブログのようなインターネットのツールの魅力だと思います。
もしこれが出来ない場合には、会社でブログを書くことを啓蒙することに頑張るよりかは、とりあえずイントラブログを始めることで、社内の人間にも意味があるものだということを理解してもらうという方法をお勧めします。こうすればちょっとずつ成果を見せながら予算を広げていくことができるのではないでしょうか。手間はかかりますが、担当者がやる気になれば予算が無くとも何かできるわけです。
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