クチコミの広がりを加速するカンバセーショナルマーケティング【AMN 徳力基彦】(4)
- 先ほど御社に記事広告の依頼があるというお話しでしたが、事例にどんなものがありますか。
現状AMNではブロガーの方のブログに記事広告を書くという事はしていないんです。その代わり、企業のキャンペーンページにライターとして記事広告を書くのは引き受けてます。その場合にはブロガーの記事に企業からの依頼があったことを紹介でき、読者の方が記事広告を読んでも混乱しないようにしています。基本的にはブログの中身自体はクリーンに保ってもらうように心がけています。
たとえば、セガさんの「ココロスキャン」というゲームでイベントを行った事例があります。ココロスキャンは、ニンテンドーDSのソフトなのですが、いわゆるゲームと言うよりは、嘘発見器のようなソフトで通常のゲーマーが「ゲーム」と思って買うと、面白さが上手く伝わらないのではないかという懸念がありました。
そこで、ブロガーを集めたイベントで、実際に皆でココロスキャンを体験してもらい、ブログに書いてもらうというアプローチをとることにしました。また、イベントをゲーム発売日に実施することで、併行して実施されていたテレビコマーシャルを見た人が、ココロスキャンと検索をすればイベント参加者の体験に基づいた記事が表示されるという効果もでるようしました。テレビコマーシャルでココロスキャンに興味を持った人が、実際に使った人たちの感想を判断材料にできるようにするというイメージですね。発売当日とかぶせたことで、ブログ検索エンジンTechnoratiの人気キーワードトップ10にしばらく入っていたというような効果もありました。
- 企業側でプロモーションを行う際に気をつけなければいけないことはありますでしょうか。
自信が無いなら大規模にやらない方がいいと思います。とにかく、まずはフィードバックを取ることです。すでに製品としてリリースしているのであれば、ネット上からフィードバックを探していくことが分かりやすい第一歩だと思います。それでも自信が無いならば、グループインタビューをして、どうすればいいのかをヒアリングするという手もあります。これらの過程をクリアして、自信をもってからキャンペーンの規模を広げていけばいいのではないでしょうか。
よくある失敗するパターンは、通常の販促活動や顧客の評判の獲得がうまくいっていないのにもかかわらず、ネットでクチコミを使えば何とかなるのではないかと逃避的にネットを試すパターンでしょうか。成功の方程式もお客さんの反応も分からないのに動き出すのは無謀と言えるでしょう。
- 製品戦略自体も大分変わってきていると。
そこまで言うとマーケティング担当者がびっくりする話になりますが、大事なのは、顧客の本音を手軽に聞くことができるようになった、ということだと思います。結局、今まで顧客の生の声を取れることはほとんど無かったじゃないですか。それが今ではネット上で生の声を拾って集計するツールが複数でてきています。それにもかかわらず、それらを使っていない人が多い現状は非常にもったいないように思えます。この辺のネットのツールで顧客の声を手軽に聞くことができるようになったと言うのは、担当者にとって非常にやりがいがある話ではありますが、その分、楽じゃなくなってきているというところですよね。今はお金があっても無くてもやる気と面倒さを乗り越えていく方が重要になってきている気がします。
【プロフィール】
アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 取締役 徳力基彦NTT、IT系コンサルティングファームを経て、アリエル・ネットワークに入社。ソフトウェアの企画業務に従事する傍ら、アジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画。また、ブログコミュニティのFPNニュースコミュニティを中心となって運営し、アルファブロガー投票企画を企画するなど、様々なブログの啓蒙活動を実施。「tokuriki.com」や「ワークスタイル・メモ」等複数のブログ運営や、ITmediaやダイヤモンド・オンラインのコラム連載等、複数の執筆・講演活動を行っている。2007年7月よりアジャイルメディア・ネットワーク取締役に就任。著書に「デジタル・ワークスタイル」、「アルファブロガー」等がある。
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