クチコミの広がりを加速するカンバセーショナルマーケティング【AMN 徳力基彦】(1)
アルファブロガーの仕掛け人でもあり、自らも「tokuriki.com」や「ワークスタイル・メモ」等複数のブログ運営、ITmediaやダイヤモンド・オンラインのコラム連載など複数の執筆活動も行っているAMN(アジャイルメディア・ネットワーク)の徳力氏にお話を伺いました。
- 御社の企業概要等々お話しをいただければと思うのですが。
AMN(アジャイルメディア・ネットワーク株式会社の略: 以下、AMN)という会社は元々ブロガー的な人たちが中心になって2007年2月に生まれた会社です。アメリカでは、TechCrunchのような広告収入だけで数千万円生み出すようなメディア的なブログがある一方で、日本ではPayPerPost(ペイパーポスト:英語で報酬目的の投稿記事という意味:以下、ペイパーポスト)と呼ばれる書いた記事に報酬が与えられる手法だけ流行ってしまいました。メディア的な部分が丸々抜け落ちてしまい、このままではいけないという議論から我々の会社は始まりました。

- ペイパーポストのような広告だけではブログを使ったプロモーションは日本では定着しないだろうという危機感があったのですね。
ペイパーポストという手法はあってもよいと思いますが、企業の担当者に「ブロガーって300円払えば記事を書いてくれるんでしょ」と思われてしまうのは避けたいと思っています。また、読者にとっても記事広告活動かどうかがわからないコンテンツがブログ中に広がるのは良くないと思っています。
- 2006年というのはクチコミサービス系の会社が多く出てきた年で、ペイパーポスト的な手法が出回った年でした。
本来クチコミマーケティングは利用者の中から湧き出てくるクチコミを加速させ、効率的に広げるという話だと思うのです。しかし、ペイパーポストはお金で記事を書かせるので、あれはクチコミ広告ではなくて記事広告マーケティングです。記事広告とクチコミを一緒にされてしまっているのは非常に残念で、インターネットの正しいクチコミの可能性が間違った形で伝わってしまっているのではないかと感じています。
もともと、商品・サービス自体が良いという前提でネットを使えば、より加速してクチコミを広めることができると思います。ただ、最近はクチコミマーケティングが間違った文脈で伝わっていて、広告で商品が売れないのでクチコミでなんとかしたい、クチコミプラットフォームを使うと売れていない商品が売れるようになるというような勘違いが出てきているように感じます。その結果、とにかくお金を払ってでも、ブログにたくさん記事広告を書いてもらえばそれでいいとなってしまっているわけです。このアプローチだけに偏ると、最終的に結果が伴わないで、なんだインターネットは使ってもダメだとなってしまい、業界全体に悪影響を及ぼすのではないかと心配してします。
- 実際に企業の担当者の方の話を聞くと、クチコミマーケティングにネガティブなイメージを持っている方がたくさんいます。
それは残念ですね。実際、効果を派手に宣伝しすぎる手法もあるようですが、そういった手法のためにクチコミマーケティング自体がなんだか怪しい手法に見られて、インターネットを活用したマーケティングの価値や可能性自体にまで影響を及ぼすようなことになるのは非常に残念です。偏りのある手法だけが一時的に脚光浴びてしまい、バブル的に終ってしまうということが繰り返されると市場にとって良くありません。また、一方で、最近はスパム的なブログが非常に増えてきていますので、このままだとブログにおけるクチコミ情報がマーケッターにとって非常に使いづらいものになってしまう可能性もあるのではないかと思います。インターネットをどのように活用すれば利用者のクチコミをもっと引き出せるか、クチコミの広がりを効率的に加速できるかということをちゃんと考えていかないといけないと思います。
そこで、現在我々が目指しているのは、最近海外でも話題になっている「カンバセーショナルマーケティング」というキーワードに代表されるマーケティング手法です。。カンバセーショナルマーケティングというのは、マーケティングを会話的なアプローチで行うもので、マスマーケティングとは180度コンセプトが違います。インターネットにおいては、利用者が力を持つ時代になってきており、そういう場所においては会話的なマーケティング手法を用いると効果があるということを世の中に発信していきたいと考えています。
会社としては企業、ブロガー、読者の3つの対象を意識しています。
1.マスマーケティング的な手法が効きづらくなってきたと危機感を抱いている企業、
2.質の高い記事を書いてもリターンが少ないと感じている書き手であるブロガーの方々、
3.質の高い情報を求めている読者の存在の3者です。
企業のマーケティングを我々が手伝うことによって、書き手であるブロガーに相応の対価が支払われ、それにより書き手のモチベーションが上がり、良質な記事を書く人が増え、最終的にその記事を読むことが出来る読者はハッピーになれる、そういった3者が得をするような関係を作ることが会社のビジョンになっています。
1 >> 2へ続く
メルマガを購読する