素人動画 企業促す ネットで話題に→販促に活躍
白衣を着た二人の男性がペットボトルのふたをおもむろに抜くと、
いきなりコーラから噴水が上がる。
軽快な音楽をバックに二人は101本の2リットル入りボトルを次々とあけ、噴水はそのたびにさまざまの量、高さ、角度で間欠泉のように吹き上がる・・・
実はこの”噴水”はミント菓子の「メントス」を「ダイエットコーク」に 落とすとコーラが勢いよく噴出す反応を利用した。約3分間の短編ビデオ「ダイエットコーク&メントスショー、実験137番」は
2006年から2007年にかけて米国で人気となり、話題のウェブサイトに授与される「ウェビーアワード」では最優秀口コミビデオ賞を受賞、エミー賞候補にもなった。06年6月3日の土曜日。ビデオに登場する2人組、メーン州に住むフリッツ・グロー氏とスティーブンボルツ氏は自ら立ち上げた娯楽サイト「イーピーバード」にこのビデオを配信した。
両氏は趣味のパフォーマンスを地元の演芸会で月一回披露していた。
本職が弁護士のボルツ氏は友人からコーラ飲料にメントスを入れると大噴出するという話を聞き、ステージ上で実演してみた。観客の興奮ぶりを見た二人は「これは大多数の人間に受ける」と確信。
自分達でサイトを立ち上げ、ビデオを流すことで自分達のパフォーマンスを広めようと発案した。
人気に火がついたのは、ボルツ氏の弟の友人がビデオ配信サービス「レバー」にリンクを載せてから。「朝アップして午前中だけでヒット件数は4千、夜には1万4千件に。急拡大のペースが怖かったほど」
とグローブ氏は振り返る。
翌週には米テレビ局CBCの夜の人気トークショー「デビッドレターマンショー」から出演の依頼の電話がかかってきた。プロデューサーがたまたま知人からのメールでビデオを知ったと言う。テレビだけでない。
ウォールストリートジャーナルなど全国紙からも取材が入った。
制作費千ドルのビデオは推定二千万件の視聴があった。
この素人ビデオの威力に驚愕したのがコカコーラだ。当初、同社の法務部は「コカコーラをおもちゃにしないで欲しい」と二人に抗議。安全面での懸念も示した。
これに対し、二人は「冗談でしょう。どれだけ人々がこのビデオを愉しんでいるかわかっているんですか」
と応じた。同社は認めていないが、一部調査ではビデオが出回った直後にダイエットコーク(2リットル入り)の売上は5%、メントスは20%増えた。
ここに目を付けたのはコカコーラの販促チームだ。過去に米国の著名芸術家、アンディーウォーホールのコカコーラのイメージを使ったアートに著作権の観点から難癖を付けて公開停止にさせた。
同じ作品の「キャンベルスープ缶」は米国人の心に残るイメージとして定着しており、マーケティングとしては大失敗だった。
コカコーラのグローバルインタラクティブマーケティング担当長のマイケルドネリー氏は「楽しみながらパフォーマンスをやっていることが視聴者に楽しく、肯定的なメッセージを与えている。商品にとっては最高のイメージアップ」と評価する。
ドネリー氏のチームは早速二人を外部コンサルタントとして迎え、二作品目のビデオ用に必要な物資を全て提供、撮影現場に担当者を送り込むなど支援した。07年10月に配信されたビデオは同社のウェブサイトに掲載、4千万のアクセス件数があった。
「素人ビデオの影響力はスーパーボウルの放送中に流れるCMスポットに匹敵するぐらいインパクトがある」とドネリー氏は話す。
(2008年5月12日 日経MJ新聞より)
有名な動画ですが、口コミの広がり方がお手本のようなバズマーケティングですね、偶然とはいえ。
コカコーラがアンディーウォーホール氏のアートにクレームをつけ失敗した経験から、この動画を逆利用したというくだり、なるほど、ですね。
自社商品を「遊ばれた」とき、消費者視線で一緒に楽しむことが
ネットバズには重要ですね。
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